小樽第3号ふ頭に期間限定でコンテナカフェをオープンしました
小樽商工会議所の港湾振興プロジェクトの一貫として港にコンテナを使ったカフェを2015年8月28日~9月22日の金土日に期間限定でオープン。弊社ではコンセプトメイキング、空間の設計や付帯するデザイン、カフェ・バーとしての運営まで、全てを担当しました。
小樽駅をまっすぐ降りた海を目の前にした絶好のロケーションにて期間限定の社会実験としてコンテナカフェPHANTOMを実施。「港を巷に – for our Future -」に登場した姿そのままに現実の世界に出現し、暗い港にささやかながらも灯りをともし賑わいを創出しました。
物流の象徴であるコンテナを人がくつろぎ賑わうための空間へとコンバージョンすることで、今後の港開発におけるわたしたちのコンセプトを強く打ち出しています。あわせてこのコンテナカフェの壁面には”ATTRACTOR-00″の文字が刻まれています。港における「ATTRACTOR=人々を惹きつける装置」のプロトタイプとしてもこのコンテナカフェを位置付けています。
上質な空間を提供することで、ゆっくりとくつろいで港の風景を楽しんでもらうことを意図しました。そのためにデザインは細部にわたり徹底的にこだわっています。入り口ドアのラインよりも客席の椅子がはみ出してこないように、かつテーブルの奥行きを長めにとることで空間の落ち着き演出するなど。。。手狭な空間を最大限に制御し、ローコストながらもコンテナの良さを感じさせるデザインに仕上がりました。
空間同様インテリアについても、ミニマルでありながらもお洒落な雰囲気を演出することに成功しました。
昼間は観光客の方々を中心に非常に沢山の人々が港に足を運んでいることが分かりました。岸壁にそのまま座ったり、係船柱に腰掛けたり、思い思いにくつろいでいます。近年クルーズ客船が多く小樽港に就航していること、そして周辺都市にはない魅力としての街と近い港があることで、水辺でくつろげる施設の必要性が増しています。
PHANTOMの営業は主に夕方から深夜にかけて行いました。昼間の風景も魅力的ですが、水面に反射する照明や星、目の前を往来する船の灯り。それらの揺らぎが夜の水辺をより一層ロマンティックに演出します。座席背面の壁を黒くすることや、調光付きの照明と手元灯でガラス越しの風景を邪魔しない効果的な照明演出も心がけました。
運営は弊社N合同会社にて行い、小樽商科大学大津ゼミの皆さんがインターンとして参加。コンテナの奥側にコンパクトにまとまった厨房では仮設営業ながら多くのメニューを提供いたしました。カフェ・バーであるPHANTOMには14日間の営業中、延べ600人弱のお客様が足を運んでくださりました。
暗い港に灯りをともすための工夫として、またお店の紹介や看板を兼ねてコンテナ街側の壁面にプロジェクションマッピングを施しました。この工夫の効果は大きく、遠くからでもPHANTOMの存在をアピールすることができました。
営業最終日には関係者のみを招き通常営業終了後、日の出まで営業をおこないました。djを招き、音に反応するレーザーや映像による演出でクラブとして明け方近くまで、その後は東向きの小樽港の魅力である朝焼けを見て2015年度最後の営業を終了しています。
社会実験コンテナカフェ〜PHANTOM〜の営業にあたっては北海道ファンマガジンさんをはじめとしてウェブの情報ページや各新聞社さま、そしてテレビ放送など数多くのメディアでご紹介いただきました。また、第21回小樽市都市景観賞にて都市景観奨励賞をいただいています。
このコンテナカフェは小樽商工会議所港湾振興プロジェクトで制作した、港の将来のイメージを描く映像「港を巷に」の中で登場したものです。
企画:小樽商工会議所 港湾振興プロジェクト
設計:福島慶介
施工:株式会社 福島工務店
運営:N合同会社+大津ゼミ(インターン)
コンテナカフェPHANTOMは営業終了後、新たに購入したシャーシと一体になり新年度の新たな展開に備えています。車輪がついたことでコンテナ本来の流動性が増しました。港エリアに現れては消える幻のカフェ、それがPHANTOMです。
社会実験コンテナカフェ〜PHANTOM〜の実験報告に関しては、シンポジウム「港から始まる新たな小樽ムーブメント」の映像記録を参照下さい。