千歳水族館にて全長25mの大規模なフロアマッピングを行いました。
千歳水族館は全国で珍しいガラス越しに川の中を見ることのできる「水中観察ゾーン」がある水族館で、秋には千歳川を遡上するサケの姿を目の前で見ることが出来る水族館です。
2017年8月10日から、この水中観察ゾーンに至る全長25mのスロープ床面にサケの一生をテーマとしたフロアマッピングを設置させていただいています。
<5.6Kの超高解像度3DCG>
スロープ直線上に廊下幅に合わせた3つのマッピングエリアを設定し、演出を連動させることで25mに渡る大規模な作品に仕上がりました。
フルハイビジョンで投影される3つの画面を合わせると、5.6Kの超高解像度による映像演出で、そこに同じく5.6Kのエフェクト映像が重なっていきます。
シーン風景や生き物など、全ての映像を3DCGで制作を行なっています。
<インタラクティブな演出>
マッピングエリアにはそれぞれ赤外線センサーが仕掛けてあり、おたる水族館でのフロアマッピング同様に人の動きに反応したインタラクティブな仕様です。
映像の中の波紋を踏むことで「エフェクト映像」が発動し、この波紋のトリガー(エフェクト発動のきっかけ)がメイン映像のシーン別に3つの画面を順番に移動しながら多様な風景を演出。
フロアマッピングは鑑賞者自身も作品の中に入り込むことのできる体験型のインスタレーションであり、鑑賞者=体験者は何度もスロープを往復して夢中にその世界へと没入していきます。
<様々なエフェクト映像>
今回用意したエフェクト映像は30種類をゆうに超える数になっています。
一部のエフェクト映像は床の既存タイルに合わせてプロジェクションマッピングの演出も施しており、あたかも床面のタイルがめくれ上がっていくかのような演出になっています。
また、出現率の低いレアなエフェクト(イクラが大量に床面を転がっていく)ものや、巨大なクジラが足元を覆っていくもの、さらには同水族館のマスコットキャラクターのサモン君が出現したり、サケを襲うクマが出現したりなど。
エフェクトの出現は各シーンごとにランダムに設定されているので、何度でも楽しむことができます。
<25mスロープをカバーする音響効果>
25mの長さを活かした演出をさらに拡張するため、それぞれの画面上部にスピーカーを新設することで広がりのある映像体験を実現しました。
5.1chのサラウンドをベースに、映像効果と連動して音も移動していきます。
<ミラー投影による表示エリアの拡張>
設営においてはプロジェクター映像を床面いっぱいに映し出すためにミラー造作やプロジェクター隠蔽用のタワーを設計するなどの創意工夫を凝らしました。
天井裏のスペースが狭かったことでこのような形を採用しましたが、それにより天井が低めの空間においても表示エリアを目一杯広げることが可能になりました。
ミラーは軽量なフィルムタイプを使用することで天井下地ではなくボードに直接設置できます。
監修:株式会社HBCフレックス
制作:N合同会社